整っていない美しさ/アリアドネ
美人揃いのバラ界
ため息が出るほど美しいバラは、正直、掃いて捨てるほどあると思う。バラの世界では美人が当たり前という世界だ。そういう中で、お気に入りのバラが出来て、こんなに美しいこのバラ!大好きなバラ!と思っているのに、名札がないと他のバラと見間違ったりすることもある。特に、実物はともかく(専門家の方は別として)写真で見たりすると、大好きなバラなのに分からないことも多い。よく似た色や形のバラが沢山あって、しかも開花時期によっては、大きさや色合いも大きく変わる場合があるので、花の画像だけでは判断できないことがほとんどだ。
永遠に愛すると誓ったのに、こともあろうに他の人と見間違ってしまうなんて!ということが(人の場合、あってはいけないが)バラは、ままあるのだ。
まあ美人はそれなりに、似たり寄ったりの顔をしているということなのかも!
たとえば、我が家にいるこのよく似た様に見えるバラ達。本当は全く違うバラだが、それぞれ何かわかるだろうか。(正解は最後に書いておこう。)
誰とも違う/アリアドネ
日本人は、人と同じでないと不安になる国民性があるらしいが、私は子供の頃から、人と同じというのが大嫌いだった。学校で動物の絵を描くよう言われて、自分が書いているのと同じ動物を誰かが描いていたら、途中まで仕上がっていても違う動物に描き直すような子供だった。ずっと生きてきて「人と違う」ということが、私にとってはなぜかとても重要なことだった。年を重ねて、今ではそこまでこだわりはなくなったが、やはりどちらかと言えば、人と同じよりは違っている方が好ましく感じるのは変わらないようだ。
長くなったが、私がこのバラ「アリアドネ」を好きな理由はこの花を見れば分かると思う。
本当に個性的で、私が知っている限り、誰にも似ていないと思えるバラだ。こんな美人揃いのバラ界において、誰にも見間違えられずに生きていけるのは貴重な存在と言えるだろう。
他のどのバラとも見間違うことのない形と色、はっきり言えば整ってない美しさが大変気に入っている。
アリアドネ
系統 S シュラブ
花色 白からクリーム
花形 ロゼット咲き
花径 中輪
芳香 中香
香質 ティー
開花 四季咲き
樹高 1.1m
作出 2016年 日本 ロサ・オリエンティス
柔らかなアイボリーの中に薄いアプリコット色が見える花色で、親の「セシル・ドゥ・ヴォーランジェ」から受け継いだおおらかで自由なロゼット咲きだ。整っていないのに、そこが素晴らしく、咲くたびに違う表情を見せるバラだ。ティーの香りも良いし、何より耐病性にすぐれていて、我が家では(他のバラと同じように消毒はしているが)きれいな濃い照葉を保ち続ける病気知らずのバラだ。ご覧のように今年の咲き姿は特に美しく、何もかもが私好みに咲いてくれた。この度は博多弁を使わず、ファビュラス!と言いたい。
バラ名/正解(画像の並び順)
デスデモーナ/クレアオースチン
アンブリッジローズ/アブラハムダービー