永遠のあこがれ!駅ピアノ

昨日の夜から咳が出だして寒気がしていたので、今日は予定をキャンセルして、午後から風邪薬を飲んで休んでいたら、夜にはだいぶ具合が良くなった。来週はレッスン等々予定がぎっしりなので、風邪を引いている場合ではないのだ。
誰しも風邪は引きたくないが、これはいつか、どうしてもひきたい(弾きたい)というものが、私の中にはある。それは「駅ピアノ」だ。自宅のピアノではなく、学校のピアノでもなく、「駅ピアノ」をかっこよく弾くことは、私の中で大変なあこがれだ。私見では、「駅ピアノ」はかっこよく弾けないといけない。突然の通りがかりに、サッと弾いてサッと去る「弾き逃げ」みたいなのがかっこいいと思う。でもそのためには、うまく弾けないといけないので、あこがれは、いつまでもあこがれのままで、実現することはないように思っていたし、何しろ「駅ピアノ」自体が近くにない!のだ。

ところが、何と!9月中旬頃から我が家の最寄り駅であるJR赤間駅に「駅ピアノ」が設置されたのだ。私はずっとそのことを知らなかったが、10月下旬に初めて知って、とにかく「弾きに」ではなく「見に」行ってみようと思いつつなかなか行けなかった。
丁度そのころ、私のピアノは調律の時期に来ていたので、1年前にクリーニング・調律してくれた「巧工房」の有馬さんに予約の電話をしたら、駅ピアノを設置したのは私です、とのこと!何という偶然か!何としても見に行かねば!ということで、写真を撮りに行ったのは10月31日のことだった。そして、このピアノが非常に珍しい素晴らしいピアノであることを徐々に知ることになった。

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その翌日、11月1日に調律の予約ができていたので、有馬さんが来てさり、調律しながらこの「駅ピアノ」についてお話を聞かせて頂くことが出来た。この駅ピアノとなったピアノには凄いストーリーがあったのだ。(↓我が家のピアノの調律の様子)

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JR赤間駅/駅ピアノ「グロトリアン・シュタインヴェーク」

この駅ピアノは「グロトリアン・シュタインヴェーク」というドイツの高級ピアノ製造会社で100年近く前に製造されたもので、それを内部も鍵盤も当時のままで復元したピアノなのだ。高額での買い手が数人いる中で、有馬さんは、最も安値しか提示できなかった為、最初から無理だろうと思っていたが、当時のままの部品で復元してみたいですね、と思いを伝えたところ、持ち主の方が有馬さんに決めてくれたそうだ。

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そして、持ち主との約束通り、1音も鳴らなかったピアノを当時のままの素材と部品で復元し、そのピアノを「駅ピアノ」として、一般の人たちに弾けるようにして下さったという訳なのだ。復元にあたって、内部は木材も構造も今のピアノとは全く違うもので、昔の人は今のような道具などがないのに、どうしてこんな物を造れたのだろう、と思ったそうだ。そんなピアノなら、なおのこと弾いてみたい....

そして、外側は....上前板には彫刻があり、年代を感じさせる。

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譜面板の上に「Grotrian-Steinweg」と金文字が入っている。

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鍵盤は象牙で、全て剥がれていたものを一つ一つ貼り合わせたそうだ。鍵盤の黄ばみは取ることも出来るが、あえて当時のまま残したそうだ。

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有馬さんは「こういうピアノに触れる機会はそうないので、上手くなくても、間違えても、どんどん弾いて欲しい。」とおっしやっていたが、それを聞いて、確かにそうだ!と思わずにはいられなかった。
この写真を撮りに行った時は、夕方でもう暗くなっていたが、その時弾きに来られていたある年配の女性は、小学校の時に弾けた唯一の曲(バイエルの50何番か)を毎日、朝夕2回弾きに来ていると言っておられた。それは、当初私が思っていた「駅ピアノはかっこよく弾かないと!」というのとは違っていたが、でもそれはまた別のかっこ良さだと思えたし、心を込めて弾くこと、一生懸命弾くことが一番カッコイイのだと改めて思い直した。

JR赤間駅の「駅ピアノ」は、今のところ12月27日までの設置(28日撤去)となっている。それまでに、私もどうにか練習して弾いてみたいものだ、かっこよく....なくても!

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朗報:2019年12月27日で終了予定だった赤間駅の「駅ピアノ」は、その後、宗像市の許可が下りて常設が決定したそうです!設置に尽力して下さっている「たくみ工房」さん、これからもよろしくお願いします。


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