2019 作品集/Miniature
毎年この時期は、2月の手づくりフェアーin九州で展示した生徒作品を、記念として残しておくため、フォトブック形式の写真集を作成している。2012年から制作するようになって、今年で8冊目となる。毎年出品して下さった生徒さんには喜んでもらえていると思う。これまでに作ってきた作品集の表紙は、HPのギャラリー/生徒作品のページにUPしている。今回も、ギャラリーに掲載するだけのつもりだったが、今年はちょっとブログで紹介してみようと思い立った。
今年の手づくりフェアー/生徒作品展示の様子
今年のテーマ/Miniature(ミニチュア)について
今年のうちの教室の生徒作品のテーマは「ミニチュア」。私がジオラマ好きだということは、ずいぶん前のブログに書いた。(I love ジオラマ/の記事→)いつか機会があったら、ドールハウスのイメージで作品を作ってみたいという考えがずっと前からあった。今年は、生徒さんそれぞれに事情があって参加できない方が多かったので、人数が少ないなら!と、思い切って今年のテーマに選んでみたのだ。
正直、パーチメントクラフトで「ミニチュア」を作るのは、結構難しい?と思う。難しいと言うのは、技術的なことではなく、雰囲気やイメージ的に合わないと言う意味でそう思うのだ。パーチメントクラフトは何と言っても、美しく繊細なレースのような作品を作ることが最もふさわしいと言えるクラフトだ。限りなく細いラインと正確なカットで、全てが緻密でゆがみがなく、微妙な濃淡や膨らみのあるパールのような「白」の作品だろう。
しかし、「ミニチュア」はどちらかというと、アンティーク感、カントリー感、手作り感などが全面に漂っている感じで、ちょっと薄汚れた感じも求められる題材だ。そういう意味で、パーチメントらしからぬ、少し独自路線の作品になることは否めない。
今回の「ミニチュア」は、窓や玄関周りを作ってもらうことにして、写真などからパターンをおこした。約束事は2つ。
①全ての部分で定規を使ってはいけない。自力でできるだけ真直ぐな線を引き、手作り感を出すこと。
②植物が必ずあって、ドライフラワー(もしくはパーチメントペーパー)を使って、本物感を出す。
こうして出来上がった作品を、写真集のために「撮影ボックス」の中で撮影した画像がこれだ。しかしミニチュアは、やはり日差しの中で撮るのが、一番本物感が出ると思い、それぞれの作品を様々な日差しの中で撮影してみた。
撮影ボックスで撮影したミニチュアの作品
Miniature
説明/建物としての本物感や臨場感が出る感じで撮ってみました。作品の雰囲気の方を重視しているので、ポイントになる小物などが入っていないアングルの物もあります。
①ピンクのバラ全体がパーチメントペーパーで作成されている。窓の向こうにはお姫様が眠っていそうな雰囲気の、ラブリーな作品。
②レンガ造りの壁と玄関。色と膨らみでレンガの質感が良く出ていて、木々の陰が本物感をアップさせている。唯一、緑だけで花のないシックな作品だ。
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③青い雨戸の窓。内側に開かれた窓や、周囲の枠の古びた感じを出すために、表面をディストレスインクで汚している。どこか外国の小さな街の路地にありそうな、存在感のある作品。
④奥まった玄関の周囲には、様々な小物やプランターが、本物さながらに置かれている凝った作品。小さな花々や植物も丁寧に作られている。
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⑤アジサイの花びらを葉に見たてた植物と、緑色の窓枠とのマッチングが素敵。窓にはガラス(プラスチック)も入っている。全体がすっきりとしていて、爽やかな作品。
⑥オーニングがすごく効いている、美しい窓。ガラス(プラ)の向こうのカーテンにはリボンが通してある。パン屋さんかケーキ屋さん?素敵なお店の窓に違いない。
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⑦頑丈な石造りの窓枠に、エスニックな柄のマットが干され、真っ白いカーテンと、窓を縁取る黄色い花とがベストマッチ。個性の強い印象的な作品。
⑧紫色の個性的なドアを、白い格子が美しく飾っている玄関。周囲の壁も丁寧に作られている。ピンクの花が咲いている木は、実は鉢植えなのだ。
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⑨青いドアの玄関。ドアの凹凸を何層にも重ねて表現している作品。夕方に近づいた頃なのか、家の中に明かりがついている。実はドアの前にはネコがいて、じっと鳥かごを見つめているのだ。
⑩白い窓は、上下スライド式の作りになっているのがわかる。窓際には、やかんに植え込んだゼラニウムが置いてあり、窓ガラス(プラ)の向こうには美しいレース模様のカフェカーテンが掛けてある。シンプルながら印象的な作品。
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⑪カーテンが窓の外に翻っているのを表現した作品。フラワーボックスは、パーチメントクラフトらしくレースワークで作った。夕日の中で、長い陰が印象的だ。
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一つ一つの作品の全体像はUP出来ないが、ミニチュア感を楽しんで頂けただろうか?
ほとんどの作品で、窓にはガラスに見立てたプラスチックが入れてあり、光の反射で本物感が出ている。また、壁の汚れや古びた感じを出すために、ディストレスインクなどで表面を汚したり、ドルソをわざとムラにして仕上げたり、いろいろな方法を駆使して作るよう、アドバイスさせて頂いた。
私はいつも、生徒作品は全体で1つの作品と考えている。今年も生徒の皆さんが頑張ってくれたおかげで、個性豊かな作品が出来上がり、それぞれが互いを引き立て合い、全体として調和の取れた作品になったと思う。